アサイド

7月の読み物

まおゆう魔王勇者/橙乃ままれ

2チャンネルに投稿された即興小説から生まれた作品。シェイクスピアの戯曲のように登場人物の会話のみで構成されている。設定はファミコンの名作ドラクエ3をモチーフにしていると思われる。登場人物の名前は一切なく、肩書きがそのまま名前で「魔王」「勇者」「青年商人」などという変な設定。でも読んでいくうちに違和感を全く感じなくなる不思議。ファンタジー的な話かと思えば、内容は全く違い経済の話から人権の話やら色々。何となく読み始めたつもりが一気に読みふけってしまいました。元々のまとめたスレッドはこちらにあり、全編読むことができます。

地底を拓く/NHKスペシャル テクノパワー巨大建設の世界4
ついにこのテクノパワーシリーズも4作目まで読んでしまいました。今回は「掘る」技術がテーマ。英仏海峡トンネル、青函トンネルなどの海底トンネルから山を貫くトンネルの話が満載です。一体どうやって海の底にトンネルを掘るのか。地層によっては高温の水が湧き出したり、脆い層では止まることなく湧水が発生したり・・・。様々な困難に立ち向かっていき、不可能を可能にしていったドラマがとても感動的です。やはりスケールの大きい土木建設の話はとても面白いです。

6月の読み物

ポストモダン建築巡礼/磯達雄・宮沢洋

建築物の紹介をする書籍は多い中、この本は別格かも知れない。とても読みやすい。ベストアングルといえる写真はどの本にも使われているし、平面図・立面図なども掲載されている。でもこの本では漫画のような綺麗なイラストがたくさん載っていて、建物とその周辺の関係だったり、写真では良く伝わらないディティールを分かりやすく表現してある。年代別に全国の50を超える建築物が紹介されていて、説明している内容も変に建築を気取ることの無い文章でとても良い。他のシリーズも読んでみたくなる一冊。

巨大建設の世界3[海上空港・沈下との闘い]/NHKテクノパワー・プロジェクト

NHKのシリーズ本の3作目。今回は「埋め立て」の技術の話。関空の建設プロセスや羽田の拡張工事、ヴェネチア・オランダは大地を「創造」することで国土を広げていった。一つ一つの話が実に興味深く、面白い。20年前に出版されているため、現在ではさらに技術は進歩しているのだけど、それを差し引いてもスケールの大きい建設現場。大規模のインフラ整備工事の話は飽きることがないです。

住宅読本/中村好文

建築家の中村好文さんのエッセイのようなとても読みやすい本。テーマごとに写真とイラストをはさんで簡潔に書かれています。何というか、すごく優しい文章で読んでいてホッとしました。「住宅」についての考え方には共感できる部分も多く大変参考になり、また、励みにもなりました。哲学的に書かれた建築論は、私の読解力では読むことが苦痛になるので、とても「私向き」な一冊でした(笑)。

種蒔きもせず/星野富弘

熊谷市からもそう遠くない場所にある、2006年の日本建築学会賞の作品賞を受賞したヨコミゾマコトさんの富弘美術館を見学しました。そこでウチの奥様が星野さんの詩と絵にえらく感動して、ファンとなり以降詩集を何冊も読んでいます。私もたまに読ませて貰ってるんですが、何度読んでも「すごいな・・・」と思います。事故により手足の自由がきかず、口に筆をくわえて描かれた作品とは思えない完成度。色鮮やかな草花、動物。飾らない言葉、胸を抉られるようにハッとする言葉、涙が止まらない心の声。芸術っていいですねぇ。

5月の読み物

宮大工西岡常一の遺言/山崎祐次

「法隆寺の鬼」と言われた宮大工西岡常一さんへのインタビュー形式の一冊。晩年の薬師寺施工中に数年に渡り取材された内容となっています。宮大工としての生き方、祖父から父、自分へと受け継がれてきた「棟梁」としての責任、喜び、葛藤など色々と伝わってきます。病状が悪化してきても心配する家族を押し切り、最後まで続けた西岡さんと山崎さんそれぞれの想いも読み取れる本です。

巨大建設の世界2[長大橋を架ける]/NHKテクノパワー・プロジェクト
巨大建設の世界―NHKスペシャル「テクノパワー」 (2)
NHKテクノパワープロジェクトの第二弾、「橋」についての一冊。倒木を向こう岸に渡した「橋」から始まり、2,000mを超える長大橋まで
「橋」づくしの内容です。どうしてスパンの長い橋が安全に架けられるようになったのか、その成功の影には多くの努力と失敗がある。現在の大橋の技術の根本的な考え方は100年以上前に生まれた・・・など。大スパンの橋の基本構造は「吊橋」、というのは意外な事実でした。やはりこの手の本はとても面白い。

4月の読み物

やさしい木構造/山辺豊彦

タイトル通り、木構造について簡単に分かりやすく解説している本。材料、架構、構造計算などを「なぜそうなるのか」を順序良く解説しているのでとても分かりやすい。実務者ならば当然知っている内容も多いが、法で定められている係数の根拠まで解説しているので新たな知見も得られる。見開き2ページで解説とイラストの構成で1記事の量もすごく読みやすい本。

風の谷のナウシカ/宮崎駿

いわずと知れた宮崎駿さんの「風の谷のナウシカ」の原作。アニメ映画版はよく知られているけど、こちらの原作の内容を知らない方は割りと多い。映画製作などで中断期間もあり、完結までに12年近くかかっている大作。他の映画作品で見かけるシーンや言い回し、雰囲気などが本作の中にも随所に見られることから原点はナウシカなのかなぁ、とも思います。かなりボリュームがありますが思わず一気読みしてしまいました。

城を歩く[その調べ方・楽しみ方]/新人物往来社

近世・中世の城郭から山城、陣屋など「城」の楽しみ方について解説された一冊です。そもそも私が城郭に興味を持つようになったのは、子供がゲームの影響で城を見たがっていたのがはじまりで、気づいたら自分が一番興味を持っているという始末。とはいっても、関東近郊の有名どころを旅行など他のついでに見て回る程度で、全くの素人。この本の内容は城マニアの域に達しているのでさすがに真似はできないけど、「なるほど~」と思える城郭の楽しみ方が満載。次の城郭巡りが今から楽しみになってきました。

巨大建設の世界1[水圧と闘うダム・運河]/NHKテクノパワー・プロジェクト

社会資本を支える建設技術-テクノパワー-についてのシリーズ本一作目。水を克服したテクノパワーとして、ダムと運河について解説されている。ダムの弱点と引き起こされている公害の話しや日本人には馴染みの薄い運河の話しなどかな〜り面白い話しが満載。出版は20年近く前なので、最新の情報ではないものの十分に役立つ内容でした。

新・道 なぜなぜおもしろ読本/株式会社建設技術研究所

道に関して「これは何故?」「あれはどうして?」という見開き2ページがQ&A形式になっている本。一般向けの内容がほとんどで、ちょっと自分には物足りない感じでしたね。毎ページのイラストは説明用というよりは面白ネタ?的なもので、実物写真を載せてもらえると良かった。シリーズ物で他にもあるようだけれど、多分読まないだろうなぁ・・・。

3月の読み物

世界の家/ベルンハルト M シュミッド

世界中の家の外観写真がカラーでたくさん載っています。その数なんと200近くです。日本の家もごく僅かですがありました。特に解説はなく、というか文字そのものがない。どこの国の何て建築家の作品?さえ載っていません。巻末に建築地と世界遺産に登録されているか否かだけ記載がある程度です。そういう意味では不親切な本でしたが、眺めているうちに「この風景はフランスっぽいな」とか「このラインと重厚感はドイツだろうなぁ」と分かるようになるのが不思議。内観写真もあればもっと良かったなと思う一冊です。

橋の構造と建設が分かる本/藤野陽三

東京ベイブリッジの建設工程の解説から始まり、橋梁を構造的な分類をしたりと色々な角度から「橋」を解説している本です。全ページカラー写真を使用しているので、非常に分かりやすい。普段意識せずに通り過ぎている「橋」をあらためて見直すいいきっかけになりそうです。分断されている道を繋ぐ「橋」という存在。川や海、谷などに架けることで新しい「道」ができるというのはよく考えるとすごいことなんだな、と思いました。

新世界の家/ベルンハルト M シュミッド

世界の家の続編です。思いの他前作を気に入ったのでこちらも読んで見ました。前作同様のB6くらいのサイズもかわいらしくていいです。基本的に世界中の家の写真がまたまた200P近く載っています。今度は写真の脇に小さく所在地が記載されているので、いちいち巻末を行ったりきたりせずにすみました。前作でも感じたことですが、その国々でよく特徴が出ていますね。ラフな感じだったり、淡い色使い、濃い色使い、ラインをピシッと通したり、崩したり。建築家の作品を見るのも楽しいですけど、「暮らし」の息遣いが感じられるこの本もすごく面白い。フォルムやカラーのデザイン集みたいな使い方もできそうな一冊でした。