省エネルギー住宅の意外なメリット

私が専門としてる設計分野は省エネルギー住宅の設計です。省エネルギー住宅の設計内容は、断熱設計、設備設計、周辺環境の設計調査等に分かれます。今回はその中の「断熱設計」について記事にします。

ひと口に省エネ住宅、と言っても様々なタイプの住宅があります。自然エネルギーを中心にしたもの、最新の省エネ設備を中心にしたもの、あるいはその両者を取り入れたもの。ここ最近の流行では、太陽光発電や蓄電池、HEMSなどをはじめとした創エネルギーシステムとその管理システムを取り入れたスマートハウスもよく見かけるようになってきました。

これらの住宅で基本になるのが「断熱設計」だと、私は考えています。「断熱設計」がきちんと出来ていれば、エアコンやヒーターなどの冷暖房機器のエネルギー消費量は大幅に削減できます。これが「省エネ住宅」と言われる大きな部分です。

しかし、「省エネ住宅」がもたらすのは何もエネルギー消費量削減による光熱費の節約、地球環境負荷の削減だけではありません。「断熱設計」がされた住宅の場合、家全体の外気負荷の影響が小さくなります。どういうことかというと、暖冷房をしていない廊下や洗面・トイレなどであっても、外気より暖冷房をしている部屋の温度に近くなると言うことです。なぜならば、「断熱設計」された熱的境界部分は外皮となる、天井・外壁・開口部・床などになり、その内側部分は自由に熱移動するため、ドアを閉めていても自然と暖冷房している部屋の温度とその他の部屋の温度は近くなるのです。

部屋間の温度差がなくなる、ということがとても大きな効果を生みます。それは、ヒートショックの抑制です。ヒートショックとは

急激な温度変化により体が受ける影響のことである。リビング・浴室と脱衣室・トイレなど、温度変化の激しいところを移動すると、体が温度変化にさらされ血圧が急変し、脳卒中心筋梗塞などにつながるおそれがある。日本の入浴中の急死者数は諸外国に比べて高いとされ、その理由は浴室と脱衣室の温度差であるとされる(ウィキペディアより)

1年間の死亡者数の統計ではヒートショックによる死亡者数は交通事故の死亡者数の2.4倍にもなるとされています(省エネルギー技術講習会のテキストより)。

つまり、ヒートショックを抑えることで健康に大変なメリットがあるということです。私が省エネルギー住宅の設計を基本設計としている一番の理由はここにあります。10年、20年、30年と暮らしていく住宅に必要なものは何だろうか、と考えたときやはり健康に暮らせる住まいであってほしい。そのために設計者として提案できる基本的なことが「断熱設計」であると、私は考えています。

近畿大学 建築学部長 岩前篤教授が動画でとても分かりやすく、詳しく解説されています。興味のある方は是非ご覧ください。

  1. 月間死亡率の推移1
  2. 月間死亡率の推移2
  3. 2万人調査が示す断熱による健康改善効果
  4. 海外の健康住宅、日本の不健康な暮らし
  5. 住宅省エネ化の正しい道

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