独学で一級建築士試験に合格するまで

平成29年度の一級建築士試験に合格しました。学科試験を4回、製図試験を5回という長い、長い道のりを経て、ようやく辿り着けました。不思議と試験が終わってしまえばそれまでの苦労は曖昧に、忘れてしまうので、今のうちに記録に残しておくことにします。独学で試験にのぞむ方が偶然にこの記事を見つけた時、何かの参考になれば幸いです。

受験資格を得るまで

一級建築士は誰でも受験できる試験ではありません。平成21年入学者より建築士法の改正があり、一級・二級・木造建築士の受験資格要件が、①大学などの教育課程で指定科目を一定単位修得+②一定期間の実務経験、となりました。詳細は公益財団法人 建築技術教育センターに公開されています。

私の一級建築士受験資格要件は、二級建築士+実務年数による受験です。平成21年の法改正前の基準で受験資格を得ていましたので、現行法の手続きや指定科目などについてはよく把握できていません。二級建築士の受験資格も現行法前によるもので、「実務経験7年以上」というものでした。私は建築系の大学や高校などを出ていないので、現行法だと資格要件が取れませんね(汗)。

法改正前でよく言われていた最も長い資格要件、「実務7年→二級取得→実務4年→一級取得」というものでした。試験申込と資格取得(資格登録)に時間的な開きがあるため、最短でも7+1+4+1=13年かかりました。

一級建築士の試験とは違い、二級建築士の試験は、独学で学科・製図共に一発で合格しました。独学で挑戦した理由は、単純に経済的な理由です。当時勤めていた建設会社は、資格取得に対しての支援がありませんでしたので、資格学校に5~60万円を支払うなどとてもできませんでした。学科試験用に書店でテキストを1・2冊購入し、ひたすら勉強。インターネットで情報を集めつつとにかく勉強。学科の結果は、100点満点でいうところの95点くらいの好成績だったと記憶しています。(実際は100点満点ではなかったと思います)

二級の製図試験はさすがに市販のテキストではプランの可否が判断できませんでしたので、最端製図.comという通信添削にお世話になりました(費用は6万円くらいだったかな)。当時は、二級の通信添削をするサイトなどの情報が少なく、私もこちらの1期生でした。受験したのが1年でも早かったら、合格できていなかった可能性もあります。

二級建築士試験を一発合格できた、という実績が良くも悪くも自信となり、結果的に泥沼(笑)の一級建築士の試験にのぞむ背景となっていると思います。

学科試験について

二級建築士合格後、一級建築士の試験に挑戦できるまで(資格要件取得まで)に5年間ありました。モチベーションを如何に維持するか・・・、というか無理でしたね。受験できる年になるまで、勉強はしませんでした。

資格試験の勉強と実務は繋がっているようで、繋がってはいないのが実情です。実務経験者のほうが有利、と言われることもありますが実際にはあまり関係がありません。学科科目でいうと、「法規」や「施工」で言葉や数字に初見でないものがある、という程度です。

一級建築士の学科試験の遍歴は、4回受験して2回の合格と不合格をしています。一級建築士の試験というのは、学科試験合格者は合格した翌2年間は学科試験が免除となります。私は製図試験の不合格が続いたので、学科試験から再挑戦をしています。

学科試験に挑戦した最初の2年間は不合格でした。二級の時と同様に、書店でテキストを購入して2年間とも挑戦していました。年齢的な脳の吸収量も違うのでしょうが、二級に比べて学科試験の範囲と難易度が桁違いでした。特に各科目の出題範囲がとてつもなく広く、試験本番ではもうお手上げ状態でした。

4回の試験の度に、本番前の腕試しとして教育的ウラ指導という独学支援サイトの「逆転一発模試」(名前違うかも)を受けていました(1万円位だったかな)。これは過去問のみで構成された模試で、腕試しには最適な問題となっています。

学科試験は、8割以上が過去問をベース(若しくは設問そのまま)に作られているので、如何に過去問を解けるかが合格の目安になります。不合格だった2年間は30~50/100点という散々な結果でした。実際、2年目の学科試験は、先の模試の結果を見て試験そのものをボイコットしました。奇跡を期待できるレベルを超えていたので・・・。

2回の不合格を経て、学科の勉強方法を根本的に見直せざるを得ないと思い、最終的に頼ったのが合格物語というソフトです(7万円くらい)。このソフトは過去20年分の問題を集約していて、過去問をマスターするのに特化していました。紙ベースの勉強スタイル向きの人にはあまりお勧めできませんが、自分のような長時間のPC作業が苦にならない人には最適ではないかと思います。ただ、私が使用した2年間はスマホ対応できていなかったので、今後スマホ対応できるようになると、更に良い勉強ツールになると思います。

合格物語を購入してからは、ひたすらソフトで勉強、勉強。科目によるコツとかそういうのは全く意識せず、とにかく問題を解く、解く。不思議なもので、理解できていない問題は5回解いても5回間違えるんです。構造の計算問題は特に苦手で、解説を読んでも理解できない。本番でも山勘に頼るのみでした(笑)。

休憩時間とかちょっとした隙間時間を利用しながら、毎日2~3時間は確保したと思います。最初の合格時は、合格点ギリギリでした。製図不合格後の4回目のときは勉強時間を3~4時間確保したので、問題なく合格点を取れました。

学科は兎に角、過去問を勉強すれば合格できるのです。

製図試験について

製図試験の遍歴は、1回目ランクⅡ、2回目ランクⅡ、3回目ランクⅡ、学科再受験して、4回目ランクⅢ、5回目にしてランクⅠで合格。製図試験の結果はランクⅠ~Ⅳまであり、合格はⅠのみ、Ⅱ~Ⅳは全て不合格です。ランクⅣは、試験の欠席や図面の未完成、著しい図面の不整合で、そのランクとなる理由はほとんど分かります。ランクⅠ~Ⅲは、試験年度により分かり易さが変わります。というか、未だに理解できない部分もあります。

製図は学科と違い点数がでないので、何が良くて何がダメだったのかが試験元から伝わってこないのです。学科試験も昔は問題用紙の持ち帰りが禁止されていましたが、今は持ち帰りができるので自己採点ができます。つまり、敗因が分かるのです。一方製図試験はこれが分かりません。本試験後に再現図(本番の内容を思い出しながら描く図面と記述)を起こせば自分の作図内容は分かるのですが、その図面と記述の何が良くて何がダメだったのかが正確には分かりません。

これは、資格学校だろうと通信添削だろうと同じです。教える側でも「恐らく減点」「恐らく減点無し」という判断でしか、再現図を添削できないのです。製図試験は年度により難易度が違いますし、減点されていると思われる内容も異なります。ここがこの試験のとても怖いところだと思います。

一級建築士の製図合格者の8割は資格学校といわれています。総合資格、日建学院、TAC辺りが有名どころでしょうか。特に近年は総合資格が過半を占めているようです。

製図試験は製図受験者の4割を合格にする試験です。試験元が意図していない解答であっても、受験者の過半数がその解答だった場合は減点し辛くなります。つまり、資格学校(特に利用者が多いところ)で勉強している方が合格し易く、少数利用の通信添削などは合格し辛い面があります。

また、先に書いたとおり、解答の何が良くて何がダメだったのかの判断は教える側に委ねられます。合格した人は、達観して判断ができますが、不合格した人はどうしても教える側の判断を仰ぎます。他に方法が無いからです。特に、私のように何度も不合格になると尚更です。

私は最初の製図3年間は模試試験でお世話になったウラ指導で勉強しました(各年7万円位)。学科再挑戦後の4年目は製図試験.com(7万円位)。合格した5年目は建築士の塾(6万円位)。製図試験.com(旧学科製図.com)は二級の時にお世話になった最端製図.comの親元的な?ところらしいです。ウラ指導も以前は製図試験.comと協力関係?であったとか。学科でお世話になった合格物語はウラ指導と繋がりがあります。要するに、私は二級製図合格から1級の学科合格までは、相互リンクのあるところにお世話になっていたといえるのでしょう。

独学での合格まで

独学で建築士試験を合格するには学科と製図それぞれでポイントがあると私は思います。万人に共通するとは思いませんが、私なりの持論です。

学科試験のポイントは、勉強時間と勉強ツールです。特に勉強ツールが大事だと思います。仕事をしながら受験する方がほとんどだと思いますので、如何に勉強時間を確保できるかが肝でしょう。私自身の経験としては、忙しいときの隙間時間ほど集中できたりします。変なもので、休みの日のたっぷりと時間のあるときは捗りませんでした。私はPCアプリで勉強していましたが、スマホツールがあればもっと効率よく勉強できただろうな、と思います。

個人差があると思いますが、ノート的なまとめは全く持って役に立ちませんでした。何度と無くノートやEvernoteなどのアプリにまとめたりしましたが、時間の無駄でした。書いて覚える、見直して思い出す、という勉強方法は間違っているとは思いませんが、私には向いてなかったようです。

製図試験は、如何に積極的に試験に向き合えるかが鍵ではないかと思います。私は、最終的には建築士の塾で教わり合格できました。複数年受験者の傾向などを踏まえつつ添削してもらい、時には辛辣な添削内容もありました。正直メンタル的に凹んだこともありました。でも、合格できたのは建築士の塾で指導してもらったからであることは間違いありません。

再現図は試験の出来に限らず、試験翌日には描くべきだと思います。特に記述は忘れ易いので、当日でもいいくらいです。私は不合格した4年間は再現図を描きましたが、合格した年は描きませんでした。合格したことを確信したわけではなく、もう、疲れてただけです(笑)。

不合格した年に受講していたウラ指導、製図試験.comを批判するつもりは全くありません。ただ、私には合わなかったのだと思います。不合格の4年間の自分を振り返ると、添削元から一方的に情報を受けるという受身の姿勢だったと反省しています。これは、不合格が続いたからというのもあるかも知れませんが、合格した年は、建築士の塾以外にも市販の資格学校の問題集も購入して解きました。また、廻り(一級保持者)にも製図試験について恥ずかしがらず公表していました。

一級試験の学科から製図の一発合格される方もいらっしゃいますが、学科・製図共に複数年受けている方が多いです。大体2~3年で合格されているので、私のように7年間も受験している人は少ないですね。しかし、勝てば官軍です。一級建築士であることには違いがありません!(^^)

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