既存住宅現況検査技術者

一月ほど前になりますが、既存住宅現況技術者講習を受講してきました。既存住宅現況技術者とは、国交省が策定した「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に基づいて住宅の検査を適正に行う者となります。ガイドラインは平成25年6月に発表され、講習会は同年11月頃から始まっています。全国で申し込みが殺到しているようで私も追加の講習枠で何とか受講できました。修了証が届いたのがつい最近でしたので自身の復習も兼ねて記事にします。

さて、そもそもホームインスペクションて何?何のために必要なの?という方がほとんどだと思いますので、このあたりを以下のようにまとめました。

ホームインスペクションとは

ホームインスペクションという言葉の定義はされていませんが、英語から訳すと
home→家
inspection→検査、視察、監査、点検
なので、ホームインスペクション=「住宅の検査・点検」と考えるのが一番分かりやすいですね。
新築時には建築基準法やフラット35、長期優良住宅、住宅性能評価、低炭素住宅など様々な規準があり、取得する認定基準に対して設計時と建設時の検査が原則行われます。しかし、既存住宅(中古住宅)の場合は現況で売買されることがほとんどで、検査・点検をしても基準や方法も曖昧でした。
日本の中古住宅の流通量の低さの一因にはこうした状況による購入者の「中古住宅に対しての不安(不審)感」があると言われています。住まいを「借りる」のであればいつでも住み替えできるので耐震性や耐久性など「住宅の性能」は気になりませんが、「買う」となると「どんな状態なのか、何年住めるのか、地震がきても平気なのか・・・」など気になりますよね。中古住宅の購入者が安心して購入できるようにするためにホームインスペクションがあります。

インスペクションの種類

一言にホームインスペクションといっても色々な性格のものがあります。前述のガイドラインではインスペクションの目的別に以下のように分けられています。

  1. 現状を把握するための目視を中心とした点検
  2. 劣化や不具合の範囲・原因を判断するための詳細な検査
  3. 性能を向上するリフォームを実施した場合に性能値や施工の適正を判断する検査

1~3を医療で例えると、1.健康診断→2.精密検査→3.治療・手術といったところでしょうか。何だか具合が悪い、けど原因が分かっていない。これでは治療も手術もできませんよね。住宅でも同じでいきなり治療・手術に相当するリフォームを実施することはできません。
水廻りや内外装の交換などは「傷んでる、汚れている、壊れた」など住んでいる人の感覚がインスペクションになります。しかし、耐震性能や耐久性能、省エネルギー性能など住宅の内部性能は専門家が順を追ってインスペクションしていく必要があります。

インスペクションでは何をするのか

中古住宅のインスペクションではどんなことをチェックしていくのかをガイドラインでは以下のように示しています。

  1. 構造耐力上の安全性に問題のある可能性が高いもの
    • 小屋組、柱、梁、床など構造上主要な部分の劣化現象など
    • 床、壁、柱の傾斜・歪み
    • 基礎のクラックや鉄筋の錆など
  2. 雨漏り・水漏れが発生している、又は発生する可能性が高いもの
    • 屋根・外壁の破損や防水層の劣化
    • 外部サッシの破損や棒水層の劣化
    • 小屋組・天井・内壁の雨漏りや水濡れ状況
  3. 設備配管に日常生活上支障のある劣化が生じているもの
    • 給水管・給湯管の水質や水漏れ
    • 排水管の流れや水漏れ
    • 換気扇の運転状況

以上の内容を検査・点検していきます。インスペクションの種類の1.「現況検査」では目視(目で直接見て確認する)検査となります。この検査で劣化状況が把握できる場合もありますし、断定できないけど「疑い」が出る場合もあります。「疑い」のある箇所を精密に検査するには足場を架けたり、壁を壊したり、床下にもぐったりと検査の規模も費用も大きくなっていきます。ガイドラインでは、「目視」検査を基本としていてそれ以上の検査(詳細な検査)は「依頼者」と協議して決めるようにしています。

インスペクションをするメリットは

基本の検査は「目視」と前述しました。「目視」で何が分かるの?と思われるかもしれません。しかし、物性値など特殊な機器でしか測定できないものを除き、建築物の検査はその大半が「目視」によるものです。建築に携わっている者ならば、「目視」により確認できたことから様々な情報を読み取れます。
例えば、自動車ではどうでしょうか。私は自動車に詳しくないので、エンジンとか見てもよく分かりませんが、整備士が見ればある程度の情報が読み取れると思います。医者がレントゲンや患部を見るのも同様のことが言えますよね。
インスペクションをすることで現在の「住宅の健康状態」を把握するということがとても大切です。検査時点では異常は無くとも今後補修が必要かも知れませんし、その際にどのくらいの工事費用がかかるのか、なども知っておくとよいでしょう。「怪我をした」「病気になった」後に検査をするよりも、予防的に「住宅の健康状態」をチェックできるのが理想的ですね。

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