熊谷市テナント倉庫、大雪、洋小屋トラス、改修状況

熊谷市のテナント倉庫改修工事

先月は2回も大雪に見舞われましたね。1回目でも観測史上最高と言われていたにも関わらず、翌週の2月15日はそれをさらに上回る積雪を記録してしまいました。カーポート、屋根、雨樋、ビニールハウス、自動車・・・と随分と被害も出ました。

築50年以上は経過していると思われる木造のテナント倉庫改修工事の監理依頼の仕事がありましたので、その様子を記事にします。

被害状況

屋根に積もった60cm以上の雪に加え、半日近く降った雨を吸込んだ雪はどっしりとした重さになりました。建築物の設計では豪雪地帯で無い限り積雪荷重はほとんど見込みません。カーポートは片持ち柱(片側のみの柱)が主流なこと、建物の屋根からの落雪が原因の被害が非常に多かったようです。

今回のテナント倉庫は、木造の倉庫に多くみられる洋小屋トラス構造です。トラス構造は軽い屋根材を使用することで内部に柱を設けずに長スパンを取れます。

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インスペクションした結果としては

  1. 新耐震基準前の建築物のため「耐力壁」はほとんどない
  2. 柱・梁などの主要構造部材は90~105mm程度のものが多く、接合部の仕口はホゾと込み栓
  3. 束部分にあったと思われる「通し貫」は全てない
  4. 今回の被害を受ける前に破損したと思われる箇所もある

といったところでした。S56年以前の建物はほぼ似たような状況です。同じ年代の建築物でも住宅よりも簡単なつくりとなっています。

洋小屋トラスに作用した力

洋小屋トラスの軸組みを簡単に図にしたものがこちらです。

洋小屋トラス、軸組み、木造
木造軸組み部分

ここに積雪による荷重がかかると下図のような力が作用します。

洋小屋トラス、木造、積雪荷重
積雪による下向きの荷重が作用します。

この下向きの力に耐え切られなくなった部分が

  1. 梁の継ぎ手(接合部分)
  2. 頬杖(斜めの材)の仕口(取り付け部分)

です。両端は柱が支えたのに対して、中央部分は何も無いので最も力のかかる部分が損傷したわけです。軸組み自体が下に下がったため、天井も同様に下がり取り合いの壁などもたわみが出たりしました。

改修状況

改修した手順は

  1. 足場架設
  2. 天井解体
  3. 軸組みの歪み矯正
  4. 金物補強
  5. 天井復旧
  6. 足場解体

という手順でおこないました。半屋外空間の倉庫なので気密性は低く、外の埃が普段から入ってくるような建物でした。そのため、小屋組みにはかなりのすす埃が溜まっていました。今回の矯正作業のために用意した新しい台付け(引っ張るための帯)は半日で真っ黒になるくらいでした。

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同じような画像が続いていますが、撮影箇所は全て違う部分です。補修箇所のスパンは全部で10スパン(1スパンは1820mm)近くありました。

 総括

今回の物件が木造でなく鉄骨だったとしたら、このような作業では復旧できません。鉄骨の場合は、カーポート被害にみられたような「挫屈」(部材が力に耐え切れずに折れたりする状態)してしまいます。挫屈した部材だけを直すことは難しく、交換することになります。また、鉄骨は溶接で部材同士が一体となることから部分的な挫屈ではなく軸組み全体が破壊される可能性もあります。木造は鉄骨造・RC造に比べて構造的に弱い部分がありますが、こうして復旧しやすいというメリットがあることを改めて感じました。

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