平成26年度補正予算のZEH

平成26年度の補正予算でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業)の補助金事業を行っています。ZEHとは、住宅の年間の一時エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ以下に設計された住宅のことをいいます(簡単に言うと、住宅で消費するエネルギー量を極力抑え、太陽光発電などで発電したエネルギー量と相殺したときにゼロ以下にすること)。2030年までに新築住宅の平均でZEHを目指すことを目的に130万円を補助している事業です。

この事業は、1~3次まで公募期間があり事業規模が異なります。

公募期間 予算
 一次  H27.3.20~H27.4.30 25億円
 二次  H27.5.8~H27.5.27 15億円
 三次  H27.7月上旬~H27.7月下旬 未定

公募期間内に設計図書を揃えて申請する必要があります。公募期間が短いので、予め設計を進めていないと申請に間に合いません。また、今回の二次公募からは先着順で採択ではなく、公募期間締切後に審査・選考が行われ、上位のものから順に採択されるようになりました。申請件数にもよりますが、基準ギリギリで申請していると採択され難い可能性が高いということです。

実際に申請するにはどの程度の断熱・設備仕様が必要になるのか、モデルプランを想定して試算してみました。

ZEHの基準

細かい部分まで上げると膨大になるので、大きい部分のみ掲載します。

  • 専用住宅であること(賃貸は原則不可)
  • 年間の一次エネルギー消費量が基準一次エネルギー消費量より20%以上削減されていること
  • 下表の断熱性能を満たすこと
地域区分 1~3 4~7 8
UA 0.4以下 0.6以下 なし
地域区分 1~4 5 6 7 8
ηA なし 3.0以下 2.8以下 2.7以下 3.2以下
  • 導入する設備が一定の性能を満たすこと
  • HEMSを導入
  • 太陽光発電などの再生可能エネルギーシステムを導入(10kW未満、全量買取不可)

導入する設備の性能は、中から上グレードくらいです。太陽光発電などが10kW未満とされているのは、建物の性能を上げずに発電能力だけで基準をクリアさせないためと考えられます。

また、採択されても工事完了期日までに完了報告などの書類提出が間に合わないと補助金は交付されません。ですから、採択後のスケジュールもまたタイトで、申請前から準備をしておくことが望ましいです。

外皮の性能の検討

外皮性能の検討するモデルプランの概要は以下とします。

ZEHモデル平面断熱仕様

地域区分 5
構造 木造2階・在来工法・充填断熱工法
天井 高性能グラスウール16kg・200mm
外壁 高性能グラスウール24kg・100mm
その他床 押出法ポリスチレンフォーム3種・100mm
基礎等 押出法ポリスチレンフォーム3種・50mm(R2・R4)
ドア 断熱k2仕様
樹脂サッシ+遮熱複層Low-Eガラス(A10以上)

外皮熱貫流率(UA)の検討

部位 面積 熱貫流率
天井 50㎡ 0.18
外壁 140.5㎡ 0.46
その他床 45㎡  0.35
土間床等 5㎡  –
基礎等 周長(外) 6.82m  0.46
周長(内) 6.42m
ドア 3㎡  2.33
開口部 20.5㎡
合計 264㎡  144.6

UA=0.55≦0.6となり基準値クリアです。

日射進入率の検討

部位 面積 日射侵入率
天井 50㎡ 0.006
外壁 33㎡ 0.016
41.5㎡
26.5㎡
西 39.5㎡
その他床 45㎡  –
土間床等 5㎡  –
ドア 3㎡  0.079
開口部 2㎡  0.4
3.5㎡
9.5㎡
西 5.5㎡
合計(冷房期) 264㎡  5.11
合計(暖房期) 4.67

ηA=5.11/264*100=2.0≦3.0で基準クリアです。

※上記の表には温度差係数や方位係数、庇の補正係数などは表記していませんが計算しています。

設備の性能の検討

外皮性能などの各パラメータは以下の通りです。

主たる居室 27.75㎡
その他居室 32.29㎡
非居室 39.96㎡
外皮熱損失量(q) 144.6
冷房期の日射熱取得量(mC) 5.11
暖房期の日射熱取得量(mH) 4.67
年間日射地域区分 A3

設備の仕様

暖冷房機器 区分(い)のエアコン
換気設備 第3種換気 比消費電力0.2
給湯設備 ガス・エコジョーズ JIS効率94%
照明設備 全灯LED、調光・人感あり

一次エネルギー消費量

基準 設計
暖房 18686 15339
冷房 1299 1373
換気 3779 2689
給湯 25750 16876
照明 9049 5208
合計 58563 41485
消費削減量(基準値-設計値) 11712

消費削減量/基準値*100%=29%≧20%となり一次エネルギー消費量の基準をクリア

太陽光発電 5kw
総発電量 44173
年間一次エネルギー消費削減量 55885

基準値>年間一次エネルギー消費削減量となり、正味(ネット)ゼロエネルギー達成となりました。

まとめ

ZEHの外皮性能基準をクリアするのは、断熱・開口部を強化すればそれほど難しいことではありませんでした。一方、一次エネルギー消費量は「暖房エネルギー」と「給湯エネルギー」が他に比べて大きくなる結果となりました。

「暖房エネルギー」が大きくなったのは、暖房期の日射熱取得量(mH)が小さいことによる影響が考えられます。冷房期の数値が高いと「冷房エネルギー」は大きくなりますが、暖房期は反対に「暖房エネルギー」負荷を小さくします。なぜ暖房期の日射熱取得量(mHが小さいかというと、全ての開口部を遮熱Low-Eとしたたことが原因です。

実際のプランを検討する際には

  • 冷房期の影響が少ない北面は普通の複層ガラスにする
  • 東西、南面は庇による補正を活かした設計計画にする

といった工夫をすることで、冷房エネルギー負荷をあまり上げずに暖房負荷エネルギーを下げることが可能です。

また、給湯エネルギーは「太陽熱給湯」を採用すると大きく削減することが可能です。太陽光発電などの再生可能エネルギーを大きく採用すると予算的にも、プラン的にも制約が大きくなるので是非検討したい設備です。