ηA、窓の補正係数、モデルプラン

窓の取得日射補正係数算定方法による比較

H25省エネ基準の外皮の計算で、冷房期の平均日射熱取得率(ηA)を求める際に窓については、係数を用いて各方位毎に数値の補正をします。この窓の取得日射補正係数は算出方法がいくつかあり、計算工程や安全率などが異なります。同一の条件の場合、これらの計算方法でどのような結果になるか比較検証してみます。

補正係数を求める方法は4つあります。

  • 定数による計算
  • 簡略法による計算
  • 詳細法による計算
  • 天窓

天窓に関しては、断熱地域区分とガラスの種類による組合せ表から該当する数値を選ぶだけなので計算は必要ありません。補正係数は方位によっても異なるので、モデルプランでの比較は各方位に関しても行います。

  1. モデプルラン概要
  2. 定数法
  3. 簡略法
  4. 詳細法
  5. まとめ

モデプルラン概要

窓の補正係数を求めるためのモデデルプランを設定します。

ηA、窓の補正係数、モデルプラン
窓の補正係数を比較検証するためのモデルプラン

上の図をモデルプランとします。各パラメータの数値は以下の通り。サッシとガラスの仕様は、アルミサッシ+複層ガラス(A4以上A10未満)程度としました。

断熱地域区分 5
庇等の出[Z] 450mm
庇下端から窓上端までの垂直距離[y1] 150mm
窓の開口高さ[y2] 1170mm
窓の開口面積[A] 2.223m2
ガラスの日射進入率[η] 0.79
窓面積[A]×日射進入率[η] 1.75617

窓の日射熱取得量を求める計算式は
窓面積[A]×日射進入率[η]×補正係数[fC(H)]×方位係数[νc]
となるので計算を省略するため窓面積と日射進入率の計算はしておきました。

定数法

定数法は庇等がある場合・ない場合共に用いることが出来る計算方法です。最も簡略的な計算方法となります。

冷房期 暖房期
fC=0.93 fH=0.51

定数法はこれだけなんです。比較するために8方位の日射熱取得量を冷房期・暖房期を求めます。計算式は、A×η×fC(H)×νCとなります。

冷房期 暖房期
0.817 0.509
南東 0.817 0.758
0.771 0.880
南西 0.849 0.730
西 0.846 0.482
北西 0.722 0.266
0.609 0.213
北東 0.714 0.278

簡略法

簡略法はモデルプランのように庇等がある場合に各パラメータの数値を用いて計算する方法です。庇等が無い場合には前述の定数法を用いるか、次の詳細法でl1とl2を20として計算します。

簡略法は暖房期・冷房期、地域区分、方位により計算式が異なります。地域区分は1~7地域と8地域で計算式が変わりますが、今回は5地域をモデルとしているので下表には地域区分の区分けを省略しています。

冷房期
南面以外 fC=0.01×(16+24×(2y1+y2)÷Z) 0.944→0.93
南面 fC=0.01×(24+9×(3y1+y2)÷Z) 0.564
暖房期
南・南東・南西面以外 fH=0.01×(10+15×(2y1+y2)÷Z) 0.590
南・南東・南西面 fH=0.01×(5+20×(3y1+y2)÷Z) 0.770→0.72

上記の計算でfCが0.93を超える場合は0.93、fHが0.72を超える場合は0.72をそれぞれ補正係数として扱います。

計算結果は以下のようになりました。

冷房期 暖房期
0.817 0.589
南東 0.817 1.144
0.468 1.329
南西 0.849 1.102
西 0.846 0.557
北西 0.722 0.308
0.609 0.247
北東 0.714 0.321

詳細法

詳細法は「庇等がある場合」と「庇等がない場合」によって補正係数の求め方が異なります。簡略法より細かい計算となり、「l1」と「l2」を求め「数表」の中から地域区分、ガラスの種類の該当する「f1」と「f2」を求めます。そして、補正係数を求める計算式に各パラメータを代入してfCとfHを求めます。「庇等がない場合」はl1l2を20として数表からf1とf2を求めます。

係数 計算式
l1 y1÷Z
l2 (y1+y2)÷Z
fC(H) (f2×(y1+y2)-f1×y1)÷y2

l1、l2を求めたら「数表」よりf1、f2を求めます。数表は暖房期・冷房期、地域区分、ガラス仕様の区分、方位、l=0~20からなり、データ量としてはかなり膨大なデータとなります。まずは、モデルプランのl1、l2を求めます。

l1 0.333
l2 2.933

ここで表示するにはデータ量が多すぎるので南面の数表データを抜粋します。

ガラス区分 期間 l1・l2 地域区分 5
区分2 冷房期 0 0.092
0.4 0.181
 ・・・ ・・・
2.5 0.47
3 0.508

数表のl1、l2とちょうど同じ値になればそのままf1、f2として表の値を採用できますが、l1、l2は数表と同じ値にならないことがほとんどです。その場合には直線補間してf1、f2を求めます。

直線補間するには求めたl1(2)の直近の上下の値のlとf1(2)を用います。計算式は

f1(2)下+(l1(2)-l1(2)下)÷(l1(2)上-l1(2)下)×(f1(2)上-f1(2)下)

となり、モデルプランのl1の場合は下記のようになります。

l1下 0
l1上 0.4
f1下 0.092
f1上 0.181

計算式に代入して求めると≒0.166となります。同様にl2も直線補間するとそれぞれ以下のようになります。

f1 0.166
f2 0.503

f1、f2が求められたのでfCを計算します。このようにして詳細法の冷房期・暖房期の各方位の補正係数を計算すると以下のようになりました。

冷房期 暖房期
0.687 0.713
南東 0.633 0.727
0.546 0.702
南西 0.64 0.719
西 0.689 0.713
北西 0.674 0.675
0.677 0.686
北東 0.676 0.676

まとめ

3通りの計算方法で補正係数を求めましたので冷房期と暖房期毎に以下にまとめました。

【冷房期】

 方位 定数法 簡略法 詳細法
0.817 0.817 0.687
南東 0.817 0.817 0.633
0.771 0.468 0.546
南西 0.849 0.849 0.64
西 0.846 0.546 0.689
北西 0.722 0.722 0.674
0.609 0.609 0.677
北東 0.714 0.714 0.676

【暖房期】

 方位 定数法 簡略法 詳細法
0.509 0.589 0.713
南東 0.758 1.144 0.727
0.880 1.329 0.702
南西 0.730 1.102 0.719
西 0.482 0.557 0.713
北西 0.266 0.308 0.675
0.213 0.247 0.686
北東 0.278 0.321 0.676

この値は日射熱取得量なので、数値が高いほど日射により建物内に熱が進入するということを表します。夏は涼しくしたいので、数値が小さいほど冷房エネルギー削減になりますし、冬は暖かくしたいので、数値が大きいほど暖房エネルギー削減になります。

冷房期の計算結果を見ると詳細法の値が概ね数値が小さいので計算上有利と読み取れます。一方、暖房期は簡略法が南東・南・南西の数値が著しく大きく、詳細法は方位による差があまりないという結果でした。

y1、y2、Zの値が異なればまた結果も異なるはずですが、常に詳細法がより有利・・・とはいえないかも知れませんね。