熱橋面積比率の検討

H25年省エネ基準で定められている評価方法基準(建築主の判断基準)である「外皮の計算」をする際に、部位毎の熱貫流率を求めていきます。この時に「熱橋」について考慮しなければなりません。熱橋とは、断熱材の入らない柱や間柱、梁、桁、垂木、根太などが該当します(木造住宅の場合、S造やRC造では鉄骨やコンクリートが該当)。H25年基準ではこの熱橋を3つの計算方法で検討します。
熱橋についての計算方法は

  1. 詳細計算法(面積加重平均)
  2. 簡略計算法-1(面積比率)
  3. 簡略計算法-2(補正熱貫流率)

の3つのルールが定められています。
それぞれの計算方法の概略を説明してからモデルプランを使ってそれぞれの計算方法の結果を比較していきます。

計算方法の解説

各計算方法の概略は下記のとおりです。

詳細計算法 開口部を除く外皮を層構成毎に細かく分類して、それぞれの面積と熱貫流率を計算する方法外壁などの断熱部位のU=(断熱部1のU*断熱部1のA)+(断熱部2のU*断熱部2のA)・・・÷外壁などの断熱部位の面積A上記の計算を外壁、屋根(天井)、床など外皮の断熱部位ごとに行います。例えば外壁の場合、水平方向では柱部分、間柱部分、断熱材部分を分けて外皮面積と熱貫流率を求めます。垂直方向では1F断熱部分、1F天井ふところ部分、胴差部分、2F断熱部分などを分けて求めます。外壁面積の区分けだけでとても細かい計算が必要になります。(下図参照)
簡略計算法-1 詳細計算法とは異なり、外壁や屋根等各断熱部位を熱橋部分を含めて面積を求め、各部位毎に定まっている「熱橋面積比率」を用いて熱貫流率を計算します。外壁などの断熱部位のU=(断熱部のU*断熱部の面積比率)+(熱橋部のU*熱橋部の面積比率)最も一般的な計算方法ですが工法の種類や熱橋の考え方、密閉空気層の取り扱いなどに注意が必要です。
簡略計算法-2 簡略計算法-1よりさらに簡単にした計算方法で熱橋部分については工法と部位毎に決まった補正値を加える計算となります。外壁などの断熱部位のU=1÷断熱部の熱抵抗の合計+補正熱貫流率Urこの計算方法では表面熱抵抗(Ri、Ro)は参入できません。
外皮の計算、熱橋面積、水平方向、断熱部、熱橋部
詳細計算法と簡略計算法の水平方向の面積の考え方です
外皮の計算、熱橋面積、垂直方向、断熱部、熱橋部
詳細計算法と簡略計算法の垂直方向の面積の考え方です

詳細計算法

まずはモデルプランを設定します。かなり計算が面倒になるので外壁一面のみで検討します。余談ですが、詳細計算法による計算書はこれまで一度も見たことはありません^^;

断熱・熱橋区分層構成仕様 面積(㎡) 熱貫流率(W/㎡*K) 貫流熱損失(W/㎡*K)
1・2階 断熱部GW16kg/100mm

PB12.5mm

22.32 0.401 8.95
柱・間柱部柱・間柱100mm

PB12.5mm

3.89 1.640 6.38
天井懐 断熱部GW16kg/100mm 2.09 0.410 0.86
天井懐 柱・間柱部柱・間柱100mm 0.36 1.809 0.65
胴差胴差100mm 0.82 1.809 1.48
合計 29.48 18.32
外壁の平均熱貫流率(W/㎡*K) 0.621

※各部位の熱貫流率の計算過程は省略しています

外皮計算、熱橋面積、詳細計算法
外壁の熱橋区分ごとの求積用立面図です

簡略計算法-1

詳細計算法と同じモデルプランで計算します。なお、PBは胴差及び桁まで張り上げない納まりのため、この計算では熱抵抗値を加算しません。同様に密閉空気層も加算しません。

断熱部0.83 熱橋部0.17
熱貫流率(W/㎡*K) 熱貫流率(W/㎡*K)
外壁断熱部:GW16kg/100mm

熱橋部:柱・間柱100mm

0.410 0.950
平均熱貫流率(W/㎡*K) 0.502
貫流熱損失(W/㎡*K) 14.80

簡略計算法-2

最後に簡略計算法-2です。断熱材の熱抵抗値の合計に補正値を加算するだけの計算です。前述の簡略計算法-1同様にPBの熱抵抗値は加算しません。また、表面熱抵抗も参入することはできません。

断熱材の熱抵抗値GW16kg/100mm 0.451
補正熱貫流率外壁・充填・軸組み工法 0.09
平均熱貫流率(W/㎡*K) 0.541
貫流熱損失(W/㎡*K) 15.95

まとめ

3つの計算結果をまとめると下記のようになりました。

平均熱貫流率(W/㎡*K)
詳細計算法 0.621
簡略計算法-1 0.502
簡略計算法-2 0.541

意外な結果になりました。詳細計算法での数値が一番悪いという結果です。建物全体で比較するとこの差はさらに大きくなると思われます。本来は詳細計算法の考え方が基本で、計算が複雑で煩雑なことを勘案して簡略計算法が作られたはずです。

簡略計算法-1と-2については-2の方が安全率をみているので妥当な差です。それにしても、詳細計算法との数値の差が大き過ぎる気がしますね・・・。