一次エネルギー消費量の計算を考察

平成26年4月より改正された省エネルギー基準で建物の外皮性能とは別に計算することになった一次ネルギー消費量。建築研究所が提供するWEBプログラムを利用して計算するので、計算ルールが分かれば割と簡単に計算できます。q(外皮の熱損失量)とmC・mH(冷暖房期の日射熱取得量)それぞれの値が計算結果にどう影響してくるのか。また、主たる居室・その他の居室・非居室の増減はどう影響するのか。このあたりを実数値をもとに考察してみました。

モデルプランと標準的な仕様を設定して、前述の値を順に変えていくことにします。

モデルプラン

モデルプランに設定する値は値は以下の項目です。

  1. UA(外皮の平均熱貫流率)
  2. ηA(外皮の平均日射熱取得率)
  3. q(単位温度差あたりの外皮の熱損失量)
  4. mC(冷房期の日射熱取得量)
  5. mH(暖房期の日射熱取得量)
  6. 主たる居室の床面積
  7. その他の居室の床面積

標準的な値として、UAとηAは5地域の基準値とします。外皮面積は320m2、述べ床面積は120m2程度を想定しています。
以上が外皮の性能の基本データとなります。

UA 0.87W/(m2*K)
ηA 3.0
q 278.4W/K
mC 9.6
mH 10.1
主たる居室の床面積 33.12m2
その他の居室の床面積 46.37m2

次に、設備仕様についてですが設定項目が非常に多岐にわたるので原則省エネ性能を評価しない仕様で統一します。

暖房 各室にルームエアコンを設置
標準的な仕様
冷房 各室にルームエアコンを設置
標準的な仕様通風なし
換気 壁付け第3種換気
省エネ仕様なし
仕様熱交換器なし
給湯 ガス給湯機
省エネ仕様なし
照明 全室に白熱灯の使用はしない
その他の省エネ仕様なし
その他 発電システム・ソーラーシステムなどなし

以上でモデルプランの設定完了です。
この値で一次エネルギー消費量を計算すると

省エネ基準 設計値
暖房設備 23,038 25,965
冷房設備 1,636 2,272
換気設備 4,539 4,581
給湯設備 27,810 30,620
照明設備 11,126 6,897
その他設備 21,211 21,211
合計 89,360 91,546

となります。
次項から設定値を色々といぢることでこの結果がどのように変わるか、みていきましょう。

熱損失量と日射熱取得量

qとmC,mHの数値を変えてみます。
実際の外皮計算ではそれぞれの数値は関連してくるので、qが小さいほどmCとmHも小さくなりますが、ここではそういった関係性を無視して数値を設定していきます。

CASE1 q値220
CASE2 mC値6.0
CASE3 mH値7.0

q値が小さくなるということは外皮の性能が向上するので、断熱仕様や開口部の仕様を向上させたということになります。mCとmHの値が小さくなるということは開口部の遮蔽性能が向上したということになります。

省エネ基準 CASE1 CASE2 CASE3
暖房設備 23,038 20,735 25,965 28,695
冷房設備 1,636 2,618 1,646 2,272
換気設備 4,539 4,581
給湯設備 27,810 30,620
照明設備 11,126 6,897
その他設備 21,211
合計 89,360 86,661 90,919 94,276

以上が結果となりました。

主たる居室とその他の居室

続いて居室の区分、「主たる居室」と「その他の居室」による影響です。当然ながら、主たる居室には省エネ設備を設置してその他の居室には設置しない、という条件では結果は異なります。よって、今回はどちらの居室も条件は同じにしています。

CASE460m223m2

主たる居室 その他の居室
CASE5 23m2 60m2

主たる居室がその他の居室の倍の広さ、その他の居室が主たる居室の倍の広さという正反対のデータにしました。非居室はどちらの場合も同じ面積という設定となります。

省エネ基準 CASE4
暖房設備 36,002 40,623
冷房設備 2,293 3,252
換気設備 4,539 4,581
給湯設備 27,810 30,620
照明設備 14,757 8,758
その他設備 21,211
合計 106,612 109,044
省エネ基準 CASE5
暖房設備 18,612 20,955
冷房設備 1,442 1,972
換気設備 4,539 4,581
給湯設備 27,810 30,620
照明設備 9,947 6,263
その他設備 21,211
合計 83,561 85,601

以上の様な結果となりました。

まとめ

検証結果から以下のことが分かります。

ということが分かります。
共通して言える事は、「換気」「給湯」「照明」「その他」は外皮の性能と居室区分の影響を受けないということです。
旧基準での住宅の省エネルギー性能の評価は「Q値」が低いほど良いとされていましたが、一次エネルギー消費量で計算すると一概には言えなかったことが分かります。
外皮と設備の性能のバランスを取ることが真の省エネルギーになる訳ですね。

q 暖房エネルギーの削減に効果が高い
冷房エネルギーは上昇する
mC,mH 冷房エネルギーの削減に効果が高い
q値と比べると総エネルギー量の差は小さい
主たる居室・その他の居室 主たる居室は係数が高く設定されているので大きく増減する
その他の居室は主たる居室より係数が低く設定されている

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