雑記1


図解 規矩術の基礎と実践/大工道具研究会
木造建築の大工技術の一つ「規矩術」(きくじゅつ)。規矩術とは、「規」(ぶんまわし、現代でいうコンパス)と「矩」(曲尺、L型の定規)を用いて木材を加工する方法のことを言います。プレカットが主流の現代では神社仏閣以外では規矩術の出番はほとんどありません。住宅専門の大工さんではほとんど知らないこともあります。この本では規矩術の薀蓄は程々に、実践がとても濃い内容となっています。コピー用紙に印刷して折り紙として規矩術の解説と勉強ができるようになっている優れものです。折り紙台紙の説明が若干足りないものの、様々な木組み模型が作れる良書です。

建築物省エネ法

平成27年7月に「建築物の省エネルギー性能の向上に関する法律」(通称:建築物省エネ法)が制定されました。この法律により「エネルギー使用の合理化等に関する法律」(現行の省エネ法)に代わり今後の建築物の省エネ性能の基準や規制がされることになります。「建築物省エネ法」は規制措置と誘導措置の2つに分けることができます。規制措置は平成29年4月1日、誘導措置は平成28年4月1日より施工予定となっています。
つづき

12月の鑑賞物


コンクリートの科学/監修:明石雄一・編著:コンクリートの劣化と補修研究会
コンクリートについて建築土木の実務者以外の人にも分かり易く解説している本。私からすると常識的な話が中心といったものの、意外と知らないこともありました。名前と主な特徴、用途は知っているけど生成過程は知らなかったり。新技術として少し紹介されていたCO2を固定化するコンクリート開発なども興味深い内容でした。

11月の鑑賞物

廃熱 回収・利用技術/大髙敏夫著

建設業だけでなくあらゆる産業で省エネ化が求められている今、そのアプローチはひとつではありません。そのうちのひとつとして「廃熱」の回収・利用技術はとても重要。一次エネルギー資源として考えると、石油や石炭・天然ガスなどの化石燃料系、太陽光や自然風・海水などの再利用可能系と様々なものがあります。どれもエネルギーという「仕事」に変換する際に「熱」を発生します。この「熱」をただ大気に捨てるのではなく、その「熱」から再度「仕事=エネルギー」を回収する、これが廃熱利用。理論上の利用可能な廃熱エネルギー資源は莫大で、今後の技術発展次第で地球環境に与える影響は大きく変わるようです。

非住宅建築物の省エネ計算

住宅の省エネルギー性能の判定は、外皮の計算と一次エネルギー消費量の計算で行います。一方、事務所やビル、工場、ホテル、病院などの住宅以外の建築物(非住宅建築物)の省エネルギー性能の判定は、住宅とは異なる基準と計算方法により行います。住宅は、大半が木造で規模も30~40坪程度と大きく変わりませんが、非住宅建築物の構造は、鉄骨増・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造他と構造が複数あり、規模も300㎡(約100坪)の建物もあれば10,000㎡(約3,000坪)という大型の建築物もあります。今回はこの非住宅建築物の省エネルギー性能の計算について記事にします。 つづき

10月の鑑賞物


フィンランドのおいしいキッチン/ジュウ・ドゥ・ポゥム
北欧フィンランドのデザイナーやクリエイターの自宅キッチンと料理を紹介した本。北欧の家具や小物のシンプルなデザインってとても落ち着きます。アラビアやマリメッコなど北欧ブランドの食器やテーブルクロスが暮らしに自然な形でとけ込んでいます。紹介されている料理もサラダや(多分)あっさりした味のオーガニック料理。日本より高緯度の国なので気候も違うので同じような暮らしぶりは難しいですが、憧れは沸いてきます。関東近郊であれば軽井沢あたりの別荘ならこんな暮らし方ができそうです。


シェール革命/財部誠一著
最近耳にすることが多くなってきた「シェールガス」。米国が何かガスを生産できるようになった、程度の認識を改めるべく読んでみた一冊。頁岩(けつがん)という地下1500~3000mという途方も無い地層の中にシェールガスは存在する。その埋蔵量は、従来の天然ガスと同程度というのが凄い。米国の埋蔵量は世界4位ではあるが、掘削技術やパイプラインの整備があるため運用が可能とのこと。むしろ、埋蔵量1位の中国では実用化が非常に難しいらしい。エネルギー資源の最大消費地である米国が輸入に頼らずにエネルギー資源を「地産地消」できること、これが世界のエネルギー事情に大きく変化を与えるのは間違いないようです。

9月の鑑賞物


いい階段の写真集/BMC
ビル系建物の「階段」の写真をとにかくたくさん集めた本。著者のBMCは1950年~70年代のビルをこよなく愛するビル好き集団ビルマニアカフェの略。不定期に刊行している「月刊ビル」の「階段」に焦点をあてた一冊。BMCの拠点が大阪のため、大阪物件がほとんどで数件都内の物件があるという偏りが若干残念なところ。とは言え、掲載されている「階段」はとても魅力のあるものばかり。木造住宅の設計ではまずお目にかかれない「階段」たちです。住宅では2階に上がるためだけのもので、無駄に空間を取ってしまう「邪魔者」にされてしまいがち。手摺の形状・材質・質感・色合い、踏み板の仕上方、ささらのデザイン・材質・バランス。階数を表示するサイン1つとってもたくさんのデザインがあり面白いです。機能的であれ、意匠的であれ、「階段」を上手に設計する参考になる本でした。

8月の鑑賞物

都市型集中豪雨はなぜ起こる?/三上岳彦著

近年頻繁に起きている集中豪雨についての本。この本を読む前から「ひょっとしてこれが原因ではないだろうか?」と考えていたことが間違いでは無いと確信できました。集中豪雨の大きな発生要因は、都市部のコンクリート建築物とアスファルトによる蓄熱、緑地・水面の減少、海風を遮るビル郡など。これらの地理的条件は経済成長期に既に形成されています。ダメ押しで熱中症対策のためのエアコン使用も見逃せないです。普及が進んでいる太陽光発電パネルから大気に反射される光熱も関係あるかも知れません。このまま気温上昇が続けば、PV式の太陽光発電よりも太陽「熱」を利用した発電が主流に・・・なんてこともあるかも?!